霧雨-kirisame-


外は霧雨が降っていた
水滴はやがて大きな雫に成った
それは流れて 全て洗い去っていった
もう何も 隠さなくてもいいよ


時計は不調か 秒針が遅い  
丸まった伝票 コーヒーは冷たい

人影 疎らな 紫明通
曇りの 夕方 予報通り

 

外は霧雨が降っていた
夜が目覚めて豪雨に変わるらしかった
その頃はどうせ 部屋の隅で泣いているさ
それ以上 濡れて困りはしないよ


優しい嘘なら 辛くないかな
そんな訳ないな 十分悲しい

信号 ぽつんと いつも赤で
ごく稀に こっそり 青く光った


五月雨に打たれて奪われた
体と心の自由かな
思えば元より縛られた
カルマの定め

 

外は霧雨が降っていた
塗料を浚ってひどく奇妙になった
素顔のままで 笑ったら泣けてきた
これからは嘘偽りなんて無いよ
決して無いんだよ